懲戒処分、種類は?就業規則への記載は必要?

この記事でわかること
  • 懲戒処分について知る
  • 懲戒処分のルールの決め方、流れなど
  • 就業規則に記載がなくても処分できますか?など

基礎知識

従業員を処分したい経営者はいません。しかし万が一、従業員がルール違反を犯したとき、基準となるルールが明確ではないと処分ができません。

言葉の定義

従業員が企業で勤務をするにあたり守らないといけないルールに違反したとき、企業は処分をすることができます。その内容は企業で自由に決められますが、どういったときに処分されるのかを就業規則に明記しておかなければならず、明記がない内容については処分は行えないと法令等で定まっています。

なぜ必要?

企業の一員としての守るべきルールは、従業員としての自覚を促します。また職場環境をととのえることができます。

リスク

守るべきルールが明確でないと、職場の秩序が乱れたり、従業員のモチベーションや生産性が下がる可能性があります。

対象企業

従業員を雇用するすべての企業

対象者

すべての従業員

実施期間

随時

メリット

懲戒処分のルールがあれば、企業内での判断がスムーズに進みます。

デメリット

懲戒処分のルールが決められていないと、問題を起こしたり不正を行ったりした従業員に対して、処分ができません。

やること

懲戒処分のルールを決める

問題行為、不正行為(遅刻、無断欠勤、情報漏えい、備品の持ち帰り、ハラスメント行為など)を洗い出し、企業内で懲戒処分のルールを決めていきます。懲戒処分の内容には服務規定違反を含むケースが多いので、服務規定も含めてルールを決めていきます。

【種類】
懲戒処分の種類は以下のとおりです。種類によって処分の重さが変わることを理解しておきましょう。
処分が軽い順番に記載しています。

①戒告:口頭による注意
②譴責(けんせき):始末書の提出・ルール遵守の誓約
③減給処分:給料の一部を控除
④出勤停止処分:必要な期間の出勤をさせず、自宅待機をさせる
⑤降格処分:役職や資格を下げる
⑥諭旨(ゆし)解雇:企業と従業員で話し合いをし自主退職
⑦懲戒解雇:企業が従業員を解雇

従業員に制度の説明をする

従業員に懲戒処分についての内容の説明と周知をします。その後、就業規則に記載し管轄の労働基準監督署へ届出をします。

届出のときは、就業規則を2部ずつ用意します。労働基準監督署へ届出後は受付印を捺印された後、1部は企業控えとして、1部は労働基準監督署で保管されます。なお、従業員数10人未満のときは就業規則の届出をしなくても差し支えありません。

懲戒処分に該当する事象の報告がある

懲戒処分に該当する問題行為、不正行為が発覚したときは、以下の手順を踏んでいきます。
①本人から経緯書などを提出してもらう
①事実確認を行う(上司や同僚にヒアリング、物的証拠などで確認)
②就業規則のどの条文に該当するかを確認する

本人に弁明の機会を与える

問題行為、不正行為を行った従業員に弁明の機会を与えなければなりません。
懲戒委員会が設置されているときは、委員会を開催します。

処分を検討する

処分を検討するときは以下の点を確認しながら進めてください。

①就業規則の懲戒処分に該当しているか
②客観的に事実確認できる証拠や根拠は明確になっているか
③憶測など含めて判断していないか
④一般的に考えて重すぎる処分になってないか
③弁明の機会をきちんと与えたか

処分は状況などを勘案し、いきなり重い処分ではなく、徐々に重くしていくことをおすすめまします。

注意点

1つの問題行為、不正行為に対して2重に処分をしてはいけません。

例:ハラスメントに対する処分のとき
①譴責(始末書を提出させる)
②譴責(始末書を提出させる)と減給処分

②は「譴責」と「減給処分」で2重の処分になっているため、どちから一方のみの処分にしなければなりません。

処分を通知する

処分が決まったら本人へ通知し、実行します。

よくある質問

Q:就業規則に記載をしなくても処分できますか?

できません。
就業規則に記載をしている内容以外では懲戒処分ができないと法令等で定まっています。企業の見解だけで処分ができる制度ではありませんので注意してください。

Q:減給処分の金額に決まりはありますか?

あります。
減給処分のときは、以下の①②を満たす金額までです。
①1度の懲戒処分で控除できるが額:1日の平均賃金の1日分の1/2以下
②1回の賃金支払で控除できる額:総支給額の1/10以下

あまりにも多くの金額を引いてしまうと、従業員の生活に支障をきたす可能性があるため、上限が定められています。

Q:解雇予告と解雇予告手当の支払いは必要ですか?

原則不要です。
ただし、管轄の労働基準監督署に事前に「解雇予告除外認定申請書」の届出が必要です。「解雇予告除外認定申請書」の認定を受けないときは、解雇予告および解雇予告手当の支払いが必要になります。

難易度と必要性
難易度
★★☆
必要性
★★★
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス

懲戒処分は、従業員にとっては不利益な措置ですが、組織を運営していく上で一定のルールは必要です。ルールをつくることで、「何がよくて何が許されないのか」という企業としての判断基準が明確になり、体制をととのえられます。処罰を目的に懲戒処分のルールをつくるわけではありません。一緒に働く従業員の働きやすさにつなげる目的で、ルールを決めていきましょう。

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