1か月単位の変形労働時間制の流れとポイント

この記事でわかること
  • 1か月単位の変形労働時間制について知る
  • 1か月単位の変形労働時間制の導入する流れなど
  • 時間外労働分も含めてシフト作成できますか?など

基礎知識

従業員を際限なく働かせることはできません。ただし法律的な手順を正しく踏めば、法定労働時間を超えて働いてもらうことは可能です。

言葉の定義

1か月単位の変形労働時間制とは、1か月以内であれば1日および1週間の法定労働時間を超えて従業員に働いてもらえる制度です。制度を利用するには、1か月の起算日などを決めて就業規則または労使協定に記載する必要があります。この記事では、就業規則に制度を導入するケースについて解説します。

なぜ必要?

1日または1週間で決められている法定労働時間の期間を1か月で設定できるため、シフト制の業種や、繁忙期・閑散期がある職種などで労働時間の調整が可能になります。結果、時間外労働の削減につながります。

リスク

就業規則や労使協定に記載をしないまま1か月単位の変形労働時間制を利用したときは労働基準法違反となり、「30万円以下の罰金」が課せられる可能性があります。

対象企業

1日または1週間で法定労働時間の設定ができない企業
(飲食業、美容業、介護業、運送業など)

対象者

1か月単位の変形労働時間制を適用されるすべての従業員

実施期間

随時

メリット

1か月を平均して法定労働時間以内におさめることで、時間外労働の削減などにつながります。

デメリット

時間外労働の計算が煩雑になり、手間が増えます。また、休日や勤務日などの変更は頻繁にできません。変更したときは、時間外労働となり割増賃金の支払いが発生するケースが多いです。

やること

1か月単位の変形労働時間制を導入するか検討する

日々の勤務時間や休日の日数などを確認します。1日8時間以内、週40時間(特例措置事業場は44時間)以内の労働時間の設定が難しいときは、制度導入を検討します。

1か月単位の変形労働時間制のルールを決める

ルールを決めていきます。

【決めること】
①起算日

毎月の起算日を決めます。起算日を賃金の算定期間の初日にしておくと、勤務時間や時間外労働などの計算が分かりやすいです。
【例】
賃金の締め日:末日
1か月単位の変形労働時間制の起算日:1日

②勤務時間
1か月を平均して週の所定労働時間が40時間(特例措置対象事業場は44時間)以内になるように決めます。

1か月の変形労働時間制で勤務ができる月の労働時間の上限は以下のとおりです。
歴日数28日:160時間(176時間)
歴日数29日:165.7時間(182.2時間)
歴日数30日:171.4時間(188.5時間)
歴日数31日:177.1時間(194.8時間)
※( )は特例措置対象事業場

③制度を使用する従業員の範囲
1か月単位の変形労働時間制は、部署単位、職務単位など適用になる範囲を自由に決められます。

従業員に制度の説明をする

従業員に1か月単位の変形労働時間制の説明をします。

就業規則へ記載をして労働基準監督署へ届出をする

就業規則は、管轄の労働基準監督署へ届出するため2部ずつ用意します。労働基準監督署へ届出後は受付印を捺印された後、1部は企業控えとして、1部は労働基準監督署で保管されます。なお、従業員数10人未満のときは就業規則の届出をしなくても差し支えありません。
また、届出した就業規則は従業員に周知が必要です。

添付書類:なし
届出先:管轄の労働基準監督署
届出方法:郵送または持参

運用をスタートする

1か月単位の変形労働時間制は、事前に勤務日と勤務時間を従業員に伝えておかなければなりません。運用開始後は、休日と勤務日の変更が頻繁に行われていないかなど随時確認をしましょう。

よくある質問

Q:シフトは、いつまでに従業員に渡せばいいですか?

期限は定められていません。
法令上、勤務を開始する前までにシフトを渡しておけば差し支えはありません。ただし、直前にシフトを渡すと従業員が予定を立てにくく、トラブルが発生する可能性が高くなります。遅くても1週間前までには、シフトを渡すことおすすめします。

Q:時間外労働分も含めてシフト作成できますか?

できません。
シフトは、法定労働時間以内で作成をしなければなりません。法定労働時間を超えて作成しているときは1か月の変形労働時間制とならず、通常の1日8時間以内、週40時間以内が適用されます。シフト表を作成後、勤務が始まってから時間外労働が発生することは、差し支えありません。

Q:労使協定で1か月の変形労働時間制を導入します。労使協定の期間は何年にしておけばいいでしょうか?

年数は法令等で定まっていません。
労使協定の期間は企業で自由に決められますが、期間があまり長いと事業内容や従業員の働き方の変化などが生まれ、労使協定の内容と合わなくなる可能性があります。したがって、3年以内で決められるとよいでしょう。

POINT

労使協定のみで1か月の変形労働時間制を導入できるのは10名未満の事業場で、事前に労働基準監督署へ届出が必要です。労使協定は免罰効果(処罰されない)がありますが、従業員が内容を守る義務はありません。制度を導入するときは、労使協定の作成だけではなく、就業規則も従業員数に関係なく作成し、1か月単位の変形労働時間制の対象者を明確にしておきましょう。

Q:1か月の変形労働時間制の時間外労働は、1か月の実働時間から月の法定労働時間を引いた時間分で計算できますか?

できません。
1か月の変形労働時間制の時間外労働は、1か月の労働時間から法定労働時間を超えた分ではありません。時間外労働の計算は、1日、1週間、1か月のそれぞれの期間で確認していきます。詳しくは、添付の「1か月単位の変形労働時間制」の「時間外労働(割増賃金)の考え方」を参考にしてください。

参考・ダウンロード|厚生労働省
1か月の変形労働時間制 |ダウンロード

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難易度と必要性
難易度
★★☆
必要性
★★☆
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス

1か月単位の変形労働時間制は、労働時間を企業の状況に応じて設定できるためよく使われている制度です。しかし、時間外労働を含めてシフトを作成していたり、時間外労働の計算が誤っているなど法令にそって運用ができていないケースが見受けられます。誤った運用をしているときは、1か月単位の変形労働時間制を導入しているとみなされず、通常の法定労働時間の原則(1日8時間以内、週40時間以内)が適用されるので注意が必要です。今一度、制度の内容を理解して、正しく運用ができるようにしましょう。

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