- マイカー通勤規定の必要性について知る
- 規定に定める項目についてと、作成の流れ
- 業務の買い出し時の事故はどうなるか、労災は使えるかなど
基礎知識
マイカー通勤のルールを決め、事故時のトラブルなどのリスクを軽減しておきます。
言葉の定義
マイカー通勤規定とは、企業が決める、従業員のマイカー通勤に関するルールです。
なぜ必要?
マイカー通勤をしている従業員がいるときは、通勤の対象者やマイカーの使用範囲などを決めておかないと、事故がおきたときに、企業の責任が問われる可能性があります。作成は法律では定められてはいませんが、リスク回避のために作成が必要です。
対象企業
マイカー通勤を許可しているすべての事業所
対象者
マイカー通勤をしているすべての従業員
やること
マイカー通勤規定を作成する
マイカー通勤規定では、以下の項目を定めます。
マイカー通勤を許可するかどうか / 業務利用の有無 / 運転時に守るべきこと / 駐車場代の負担と、駐車場所について / 通勤手当について / やってはいけないこと / 事故がおきたときの連絡方法 / マイカー通勤の有効期間 / マイカー通勤の許可を取り消すとき/ 加入保険の基準 / 企業への提出書類(※ステップ③参照)
マイカー通勤での事故は企業の責任が問われるケースが多いため、希望者全員ではなく、一定の基準を決めて、許可制にすることをおすすめします。あらかじめ違反記録などを取り寄せ、違反が多い従業員には許可をしないなど、一定のルールを決めましょう。
マイカーを業務でも使用する場合、自動車保険の使用目的が「日常・レジャー」では、通勤途中での事故が告知義務違反に問われる可能性があります。適切な内容の保険に加入できているかどうか、確認できる体制をととのえましょう。
従業員に周知する
マイカー通勤規定を作成したら、従業員へ周知しましょう。
マイカー通勤規定は就業規則の一部なので、その中に記載しても構いませんが、マイカー通勤規定はボリュームが多いため別冊子にすることが多いです。マイカーを使用する従業員には必ず知ってもらい、入社時に配布するなど、周知につとめましょう。
運用・管理する
マイカー通勤規定にそって、必要な書類を従業員から提出してもらい、適切に管理します。
よくある質問
Q:通勤のついでに備品を買ってきてもらったときに事故があったら、企業の責任は問われますか?
問われる可能性が高いです。業務での利用があれば、責任が全くないということにはなりません。
Q:マイカー通勤でも、労災は使えますか?
使えます。
Q:違反履歴や、免許が有効かどうか知る方法はありますか?
あります。自動車安全運転センターで、以下の証明書の郵送取り寄せができます。企業が従業員に代わって取り寄せるときは、従業員から「委任状 」をもらい、代理人として手続きを進めます。
①運転記録証明書・・・交通違反、交通事故、運転免許の行政処分の内容がわかります。
②累積点数等証明書・・・交通違反や交通事故の点数が、現在何点になっているかがわかります。
参考|自動車安全運転センター
難易度と必要性
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス
マイカーだから、事故を起こしても自己責任とは割り切れません。ルールがなければ、企業責任が問われるケースも出てきます。損害賠償額は何百万、何千万になることもあります。企業が背負うリスクを認識し、責任の範囲を明確にしておきましょう。企業と従業員の意識を揃えておくためにも、マイカー通勤規定は必要です。
社会保険労務士。株式会社Flucle代表取締役/社会保険労務士法人HRbase代表。労務管理の課題をITで解決できる社会を目指す。HRbase Solutionsは三田をはじめとする社会保険労務士、人事労務の専門家、現場経験の豊富なプロと、記事編集者がチームを組み「正しい情報×徹底したわかりやすさ」にこだわって作り上げているQAサイトです。