協会けんぽの社会保険 正しい加入要件と届出の流れ

この記事でわかること
  • 社会保険の必要性
  • 社会保険の加入条件と手続きの流れ
  • 社会保険は、何歳まで加入が必要ですか?など
難易度と必要性
難易度
★☆☆
必要性
★★★
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆

基礎知識

正社員やパート・アルバイトなどの雇用形態にかかわらず、社会保険の加入要件を満たす従業員は、本人の意思にかかわらず加入が義務付けられています。要件を満たしているにもかかわらず正当な理由がなく未加入の場合、企業・従業員双方がリスクを負うことになります。

言葉の定義

社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金保険)は、企業で働く従業員の出産、病気、ケガなどに備え、生活の安定を図るための公的保険制度です。法令によって加入が義務付けられているため、加入要件を満たす従業員は、本人の意思にかかわらず加入しなければなりません。
健康保険を運営する保険者には、協会けんぽや健康保険組合などがあります。以下では、協会けんぽに加入する特定適用事業所ではない企業の従業員(被保険者)を対象としています。

なぜ必要?

社会保険への加入は、法令で定められた事業主の義務であると同時に、働く人々の安心を支える重要な制度です。病気やケガ、出産による休業時の所得保障だけでなく、将来の年金受給といった生活基盤を確保するうえでも重要です。適切な手続きを行うことは、従業員が安心して長く働ける環境づくりの第一歩であるといえます。

リスク

社会保険の加入要件を満たしているにもかかわらず、正当な理由なく未加入である場合、年金事務所の調査により、最大2年間さかのぼって加入するよう指導を受ける可能性があります。
また、法令違反として「6か月以下の拘禁刑」や「50万円以下の罰金」といった罰則の対象となるおそれもあります。

対象企業

社会保険の強制適用事業所または任意適用事業所である企業

対象者

社会保険の加入要件を満たす、すべての従業員

対応時期

随時

メリット

【健康保険】
病気やケガ、出産のために会社を休んだ際、「傷病手当金」と「出産手当金」により収入が保障され、給与の約3分の2が支給されます。
【厚生年金保険】
「基礎年金」に加えて「厚生年金(※)」を将来受け取ることができます。
※受給資格期間(10年以上)を満たす必要があります。

やること

対象従業員が社会保険の加入要件を満たしているか確認する

従業員の入社や、雇用形態の変更などに伴い契約上の労働時間が変更される場合には、改めて社会保険の加入要件を満たしているか確認が必要です。
なお、正社員やパート・アルバイトなどの雇用形態を問わず、社会保険の加入要件を満たす従業員は、本人の意思にかかわらず加入義務が生じます。

【社会保険の加入要件】
1週間の所定労働時間および1か月の所定労働日数が、その事業所で働く正社員の3/4以上

加入手続きに必要な従業員情報を集める

従業員が社会保険の加入条件を満たす場合、手続きが必要となるため、以下の情報を集めます。

①氏名
②ふりがな
③生年月日
④性別
⑤加入日
⑥被扶養者の有無
※「有」の場合、『被扶養者(異動)届』の届出が別途必要です。
⑦賃金
⑧マイナンバー(個人番号)が分かる書類(マイナンバーカード、個人番号付き住民票の写し など)
【マイナンバーが未提出の場合、必要となるもの】
・基礎年番号が分かる書類(基礎年金番号通知書、年金手帳 など)
・住所
⑨マイナ保険証の利用有無
※「無」の場合、マイナ保険証の代替となる証明書である『資格確認書』の発行が必要です。

注意点

マイナンバーは「マイナンバー法(通称)」によって保護されており、厳格な管理が義務付けられています。従業員から取得したマイナンバーは、法令で定められた目的以外での利用や保管は認められていません。マイナンバーそのものだけでなく、それが記載された書類等も同様に管理対象となるため、厳重な取扱いが必要です。

書類を作成する

情報が集まったら、加入に必要な「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」を作成します。

資格取得届の⑨報酬月額欄には、社会保険の報酬の対象となる金額を記載します。
報酬とは、給与、俸給、手当、賞与など名称を問わず、労働の対償として受けるすべてのものを指します。このすべてのものには、金銭だけでなく現物支給の通勤定期券や食事、住宅なども含まれます。ただし、臨時の見舞金や年3回以下の賞与などは対象外です。

POINT

2024年12月2日以降は従来の健康保険証が廃止されているため、健康保険証の発行はされません。
そのためマイナ保険証を持たないなどの理由で資格確認書が必要な場合は、資格取得届の⑫資格確認書発行要否欄で「発行が必要」にチェックを入れて届出します。

【資格確認書発⾏対象者】
・マイナンバーカードを持っていない
・マイナンバーカードの健康保険証利用を登録していない
・マイナ保険証の利用登録解除を申請した
・マイナンバーカードの電子証明書の有効期限が切れた など
(出典)日本年金機構『健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険 70歳以上被用者該当届』をもとに作成

事務センターへ届出をする

書類の作成が完了したら、届出をします。

添付書類:原則、なし(※)
届出期限:加入日から5日以内
届出先:事務センターまたは管轄の年金事務所
届出方法:郵送または管轄の年金事務所へ持参、電子申請(事務センターのときは郵送のみ)
※60歳以上の方で退職後の継続再雇用の場合、退職日が確認できる書類および継続して再雇用されたことが確認できる雇用契約書のコピーなどが必要です。

資格情報のお知らせと決定通知書が企業へ届く

届出後1~2週間ほどで、協会けんぽから「資格情報のお知らせ」が、年金事務所から「健康保険・厚生年金被保険者標準報酬決定通知書」が届きます。
「資格情報のお知らせ」は、速やかに対象の従業員へ配布します。
「決定通知書」に記載された『標準報酬月額』は社会保険料の計算の基礎となるものです。給与明細に記載したり、写しを同封したりなどの方法で、本人への通知を忘れずに行います。






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よくある質問

Q:社会保険は、何歳まで加入が必要ですか?

健康保険は75歳、厚生年金は70歳まで加入が必要です。
厚生年金は、年金の受給状況などによって、継続して加入できることがあります。
70歳以上で加入をしたい方は、管轄の年金事務所へ相談してください。

Q:社会保険の加入手続きが漏れていた場合、いつまでさかのぼって加入できますか?また、その際の加入日は会社や本人の希望で決めることができるのでしょうか?

社会保険は、最大2年間さかのぼって加入できます。
最大2年間のうち、加入要件を満たす時期までさかのぼって加入する必要がありますので、さかのぼりの時期を会社や従業員が指定することはできません。

Q:社会保険の加入時に実際の報酬よりも低い報酬額で届出をした場合、どうなりますか?

社会保険の加入時に実際の報酬よりも低い報酬額で届出をしたときは、虚偽の届出を行ったこととなり、6か月以下の拘禁刑または50万円以下の罰金を科せられることがあります。

また、罰則に加えて、過去に遡って正しい保険料と延滞金を納付する必要があります。

Q:外国籍の従業員も社会保険の加入条件を満たせば、加入が必要ですか?

外国籍の従業員も社会保険の加入条件を満たせば、加入が必要です。
国籍にかかわらず、社会保険の加入要件を満たせば加入しなければなりません。

マイナンバーカードを持っていないなど資格確認書の発行対象者で、資格確認書の発行を急ぎで希望する場合は、被保険者資格取得届の資格確認書発行要否欄で「発行が必要」にチェックを入れて届出します。
手続きが遅れるとマイナ保険証への資格情報の反映・資格情報のお知らせの発行・資格確認書の発行が遅れます。

また、「厚生年金保険被保険者 ローマ字氏名届」が加入の届出のときに必要となることがあります。

【必要になるとき】
・マイナンバーがないとき
・マイナンバーと基礎年金番号が紐付いていないとき

届出は「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届/厚生年金保険70歳以上被用者該当届」と一緒に行います。
届出先などは同じです。

HRbaseからのアドバイス

社会保険の加入は、本人の希望や雇用形態に関係なく、法律で定められた義務です。未加入状態を放置することは法令違反となります。
万一の病気やケガ、将来の生活基盤を保障することは、従業員の安心に直結します。法令を遵守し、従業員が安心して力を発揮できる環境を整えることが、健全な企業経営の第一歩です。

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