- 労災保険を使わず、誤って健康保険(マイナ保険証等)を使ってしまったときの手続きの流れを知る
- 協会けんぽと労働基準監督署への届出方法の流れ
- 業務中のケガでマイナ保険証を使い治療を受けました。協会けんぽが負担した7割の医療費を支払わないと労災保険から給付を受けられないのでしょうか? など
難易度と必要性
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
基礎知識
病気やケガのとき、それが労災かどうかは従業員には判断できないこともあります。企業側が正しく判断し、誤って健康保険を使ってしまったときは事後対応をする必要があります。
言葉の定義
業務中や通勤途中に生じたケガや病気のときは労災保険が適用されるため、健康保険(マイナ保険証等)が使えません。労災なのに誤ってマイナ保険証等で治療を受けたときは、労災保険への切り替えが必要です。この記事では、協会けんぽの健康保険を使い、労災保険への切り替えが病院でできなかったケースを記載しています。
なぜ必要?
「健康保険」と「労災保険」では、以下のように適用範囲が異なります。
健康保険:業務や通勤以外のケガや病気のとき(私傷病)
労災保険:業務や通勤にかかわるケガや病気のとき(業務災害・通勤災害)
企業は制度を正しく理解し、速やかに労災保険へ切り替える手続きをしなければなりません。
リスク
労災保険を使わずに誤ってマイナ保険証等を利用して治療を受けたときは、協会けんぽが負担した医療費(7割~9割相当分)が後日、返還請求されます。
また、労働災害発生の報告を怠ることは、労働安全衛生法違反にあたります。故意に隠したと判断されれば、「労災かくし」とみなされ、50万円以下の罰金が科されるおそれもあります。
対象企業
従業員(パート・アルバイトなどの雇用形態は問わない)を1人でも雇用するすべての企業
対象者
業務または通勤にかかわるケガや病気をした従業員(パート・アルバイトなどの雇用形態は問わない)
やること
協会けんぽに連絡をする
業務中や通勤途中に生じたケガや病気でマイナ保険証等を使ったときは、速やかに協会けんぽへ連絡します。
※ここでは、一時的に医療費の全額を自己負担したうえで、労災保険を請求するケースについて解説します。
協会けんぽへ医療費(7〜9割分)を返還する
協会けんぽへ連絡後、数か月(レセプト処理の関係で2〜3か月程度)すると、本人宛に「医療費返還請求書(納付書)」が届きます。納付書が届いたら、本人が協会けんぽに対して支払いを行います。
支払いが完了すると、協会けんぽから「返還金の領収書」と「レセプト(診療報酬明細書)の写し」が送付されます。この2つは労災の手続きに必要になるため、大切に保管するように本人に伝える必要があります。
労働基準監督署へ届出をする
ステップ2で支払いをした後、下記の書類を作成し届出をします。「業務災害」と「通勤災害」では書式が異なります。
添付書類:医療機関で支払った医療費の領収書、STEP2で協会けんぽから送付された「返還金の領収書」と「レセプト(診療報酬明細書)の写し」
届出先:企業の所在地を管轄する労働基準監督署
届出方法:電子申請または郵送、持参
医療費が振り込まれる
労働基準監督署での審査が終わると、指定した本人の銀行口座に医療費の全額が振り込まれ、完了となります。
よくある質問
Q:業務中のケガでマイナ保険証を使い治療を受けました。協会けんぽが負担した7割の医療費を支払わないと労災保険から給付を受けられないのでしょうか?
業務中のケガでマイナ保険証を使い治療を受けたため、後日、協会けんぽから負担する医療費(7割)の請求があったときは、支払をしないと原則、労災保険からその分の医療費の給付を受けられません。
ただし、多大な経済的負担が生じるときは、協会けんぽへの医療費の支払が完了する前であっても労災保険から給付されることがあります。
また、本人が委任すれば労災保険から協会けんぽへ医療費を支払われることがあります。
支払が難しいときは、管轄の労働基準監督署へ相談されることをおすすめします。
HRbaseからのアドバイス
業務や通勤にかかわるケガや病気のときに、知らずに健康保険証を使ってしまう方がいます。
労災で健康保険(マイナ保険証等)を使ってしまうと、本人は「一時的に多額の現金を立て替える」ことになり、企業は「複雑な書類作成のサポート」に追われます。労災の判断がつかない場合は、従業員はマイナ保険証等をむやみに使用せず、まずは会社に状況を報告し、指示を仰ぐことをおすすめします。
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社会保険労務士。株式会社HRbase代表取締役/社会保険労務士法人HRbase代表。労務管理の課題をITで解決できる社会を目指す。HRbase Solutionsは三田をはじめとする社会保険労務士、人事労務の専門家、現場経験の豊富なプロと、記事編集者がチームを組み「正しい情報×徹底したわかりやすさ」にこだわって作り上げているQAサイトです。





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