- 解雇理由証明書の必要性と発行までの流れを知る
- 解雇理由証明書の記載項目を知り、発行する
- 解雇理由証明書の発行を拒むことはできますか?など
基礎知識
解雇は、企業にとっても従業員にとってもセンシティブな手続きです。後日のトラブルを避けるためにも、解雇理由証明書の存在と必要性を理解しておきましょう。
言葉の定義
解雇理由証明書とは、解雇予告をされた従業員の解雇理由を証明する書類です。本人が希望したときのみ、解雇予告期間中に企業が発行をします。
なぜ必要?
従業員が希望したときは、企業が発行をしなければならないと法令等で定められています。解雇の理由を知りたい、解雇が正当かどうかを知りたいときなどに従業員から発行を求められます。
リスク
解雇予告期間中の従業員が希望したにもかかわらず発行をしなかったときは、法令等違反となり「罰金30万円以下」に課せられる可能性があります。
対象企業
すべての企業
対象者
解雇予告期間中の従業員
実施期間
解雇予告期間中
解雇理由証明書の書式を準備する
解雇理由証明書の書式は任意で、企業が自由に決められます。
解雇予告期間中の従業員から解雇理由証明書の発行を希望される
解雇理由証明書の発行を希望したときは、解雇理由の証明が必要がどうか確認をします。
解雇理由証明書は、解雇理由に該当する就業規則の内容の記載、解雇の裏付けの内容などを記載しなければなりません。
ただし従業員が「解雇の事実」のみ証明を希望したときは、企業は解雇の理由を記載してはいけません。
解雇理由証明書を発行する
解雇理由証明書を発行し、従業員へ渡します。
発行したときは、企業の控えとしてコピーを取っておきます。
コピーを保管する
発行した解雇理由証明書のコピーは、企業で大切に保管します。
よくある質問
Q:解雇理由証明書の発行を拒むことはできますか?
拒めません。
ただし解雇理由証明書の発行を希望してきた日が解雇日(退職日)を過ぎているときは拒めます。
Q:即日解雇をしたときも、解雇理由証明書は本人が希望すれば発行が必要ですか?
必要ありません。
解雇理由証明書は「解雇予告期間」に発行する書類になります。即日解雇のときは、解雇予告期間がないため解雇理由証明書の発行ができません。ただし退職証明書の希望があったときは、発行しなければなりません。
Q:解雇理由証明書に解雇の理由の記載が必要がどうか、必ず確認をしないといけませんか?
しないといけません。
解雇理由証明書を希望する従業員は、解雇に納得していないことが多く、後日トラブルになるケースがあります。トラブルを防ぐためにも、解雇理由証明書に解雇の事実のみの記載を希望しているかどうか、確認をしてください。
Q:解雇理由証明書は発行の希望があってから、どのくらいの期間で発行しなければなりませんか?
法令等で定められた明確な期間はありません。
法令等では「遅滞なく」発行しなければならないと定められています。したがって発行の希望があったときは、できるだけ早く発行することをおすすめします。
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難易度と必要性
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス
解雇理由証明書の発行は、従業員が「解雇の理由」を明確に知りたいときに希望してくることが多く、後日トラブルになるケースも少なくありません。解雇を行うときは、解雇理由を丁寧に伝え話し合いをするなど従業員に納得してもらえるようにしましょう。トラブルの防止につながります。
社会保険労務士。株式会社Flucle代表取締役/社会保険労務士法人HRbase代表。労務管理の課題をITで解決できる社会を目指す。HRbase Solutionsは三田をはじめとする社会保険労務士、人事労務の専門家、現場経験の豊富なプロと、記事編集者がチームを組み「正しい情報×徹底したわかりやすさ」にこだわって作り上げているQAサイトです。