企画業務型裁量労働制、どうする? 検討のポイントと運用の流れ

この記事でわかること
  • 企画業務型裁量労働制を知る
  • 企画業務型裁量労働制の導入する流れなど
  • 労使委員会の従業員代表に、管理監督者を含められますか?など

基礎知識

労働時間の管理は、日本型の労務管理で重要なポイントです。企画業務型裁量労働制を知り、正しく運用できるようになりましょう。

言葉の定義

企画業務型裁量労働制とは、事業活動の軸となる業務を行っている従業員が、企業から業務の進め方や労働時間などの指示や管理を受けず、自身の裁量で働ける制度です。労働時間などは、労使委員会であらかじめ決めておきます。従業員の裁量で業務を行うのため知識やスキル・経験が必要なため、対象業務や実施できる事業場などが法令等で定められています。

なぜ必要?

従業員に業務の進め方や時間配分を任せることで、能力を発揮して主体的に働いてもらえます。

リスク

企画業務型裁量労働制は、労使委員会で決まった内容の、労働基準監督署への届出が必要です。届出が遅れたり、忘れたりしたときは制度が適用されていないと判断され、残業代などが発生する可能性があります。

対象企業

企画業務型裁量労働制の導入を検討している企業

対象者

対象業務に対し、業務を適切に進めることができる知識や経験などをもつ従業員(新入社員などは対象にできません)

実施期間

企画業務型裁量労働制の導入検討時期と、労使委員会の決議の更新時

メリット

従業員自身で仕事の進め方や時間の配分をコントロールできます。自由度が高く、本人の持っている能力を発揮しやすくなります。

デメリット

制限が多く、労働基準監督署への定期的(6か月に1回)な報告が必要です。正しく運用していないと、制度を適用していないと判断され未払い残業代などの対応が求められるケースもあります。

やること

労使委員会を設置する

企画業務型裁量労働制を導入するためには、労使委員会が必要です。以下の流れに沿って決めていきます。

①委員会に参加する従業員を決める
従業員の過半数が加入する労働組合があるときは、労働組合が参加します。労働組合がない企業では、従業員代表を任期を決めて選出します。従業員代表は管理監督者以外から指名をしてください。企業側は適宜選任を行い、委員の人数は、企業と従業員側それぞれで各2名、合計4名以上必要です。

②運営のルールを決める
次の運用ルールを、労使委員会の同意を得ながら決めていきます。
・労使委員会の開催の時期
・議事を進め議決するための必要最小限の出席者数
・その他運営に関すること

③労使委員会開催の都度、議事録を作成し保存をする
議事録の保存期間は3年間です。なお、議事録の内容は従業員に周知しなければなりません。

企画業務型裁量労働制を労使委員会で検討する

企画業務型裁量労働制の導入条件が自社に該当するかどうかを検討します。

【導入できる事業場】
①本社・本店
②その事業場の所属する企業などにかかわる、事業の運営に大きな影響を与えたり決定が行われる事業場
③本社・本店から具体的な指示を受けず、当該事業場にかかわる運営に大きな影響を与えたり事業計画の決定を行っている事業場

【対象となる業務】
①事業の運営にかかわる業務
②企画、立案、調査および分析の業務
②業務の遂行の手段、時間配分の決定について、企業が具体的に指示していない業務
③従業員に知識や経験があり、裁量で行う業務

労使委員会で決議を行う

企画業務型裁量労働制を実施するためには、労使委員会の決議が必要です。以下の①~⑧について、委員の4/5以上の多数により決議を行い、従業員へ周知します。就業規則にも制度などの記載を行います。

①対象業務
②対象従業員の範囲
③1日当たりのみなし労働時間
④健康および福祉に関する措置
⑤苦情に関する措置
⑥対象従業員の同意を行い、同意をしない従業員に対しても不利益な取り扱いを行わないこと
⑦決議の有効期間(3年以内が望ましい)
⑧④と⑤の記録、対象者の労働時間の状況、対象従業員の同意を決議の有効期間と有効期間後3年間保存すること

労働基準監督署へ決議の届出などを行う

労使委員会で決まった決議は「企画業務型裁量労働制に関する決届書」(以下、決議届)で事前に労働基準監督署へ届出が必要です。

決議届と就業規則は、管轄の労働基準監督署へ届出するため2部ずつ用意します。労働基準監督署へ届出後は受付印を捺印された後、1部は企業控えとして、1部は労働基準監督署で保管されます。なお、従業員数10名未満のときは就業規則の届出をしなくても差し支えありません。また、届出した決議届、就業規則は従業員に周知が必要です。

添付書類:なし
届出先:管轄の労働基準監督署
届出方法:郵送または持参

参考・ダウンロード|厚生労働省
企画業務型裁量労働制に関する決議届 |

ダウンロード

企画業務型裁量労働制を適用する従業員の同意を得る

従業員に制度について十分な説明を行い、個別に同意(企画業務型裁量労働同意書(任意書式))を得ます。同意を得られない従業員については、制度を適用できません。また、同意が得られなくても解雇など不利益な扱いをしてはいけません。

運用をスタートする

勤務が制度に沿って正しく運用されているか随時確認を行います。

確認事項

①労使協定で締結した内容と異なる運用をしていないか
②上司が業務の進め方や時間配分の指示をしていないか
③従業員がオーバーワークになっていないか など

6か月ごとに労働基準監督署へ届出を行う

労働時間の状況や勤務状況などを把握し、6か月以内ごとに1回、労働基準監督署に報告が必要です。また、従業員の健康状態にあわせて、健康診断の実施や特別休暇の付与などの対応が必要です。

参考・ダウンロード|厚生労働省
企画業務型裁量労働制に関する報告 |

ダウンロード

よくある質問

Q:労使委員会の従業員代表に、管理監督者を含められますか?

含められません。
管理監督者以外の従業員から選任してください。

Q:企画業務型裁量労働制に同意しない従業員がいます。その従業員に対して、同意しないことを理由に昇進をさせなくてもいいですか?

よくありません。
同意しないことを理由に、従業員にとって不利益な取り扱いをすることは禁止されています。昇進をさせなかったり、ボーナスを減額したりすることも不利益な取り扱いとなります。

Q:企画業務型裁量労働制の対象になっている従業員に、業務の進め方について随時指示できますか?

指示はできません。
企画業務型裁量労働制は、業務の進め方や労働時間について、従業員が自由に決められる制度です。そのため、業務の進め方についての指示はできません。具体的または随時指示を行っているときは、企画業務型裁量労働制とは認められず、労働時間の管理などが必要になってきます。

Q:休日労働、深夜労働をしたときは、割増賃金の支払いは必要ですか?

必要です。
休日労働、深夜労働は、法令等通りの支払いが必要です。

Q:時間外労働の支払いは必要ですか?

不要です。
企画業務型裁量労働制には「時間外労働」がありません。従業員に時間の配分を任せているため、始業・終業時刻も従業員が決められます。

1日の労働時間は労使委員会で決め、その時間に勤務したとみなします。つまり、労使委員会で1日の勤務時間を「8時間」と決めたときは、従業員が9時間や11時間など8時間を超えて働いたとしても勤務時間は「8時間」とみなし、「8時間」を超えた時間は時間外労働とはなりません。また、5時間や6時間など8時間未満の勤務のときは「8時間」勤務したとみなします。ただし労使委員会で1日の労働時間が8時間を超えて決めたときは、超えている時間は時間外労働となり割増賃金の支払いが必要です。

難易度と必要性
難易度
★★★
必要性
★★★
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス

企画業務型裁量労働制は、手続きが煩雑で導入や運用には手間がかかります。しかしうまく運用ができると、業務の進め方や時間配分を従業員本人のペースで行えるため、労働時間の短縮やワークライフバランスにつながります。
ただし十分なスキルや知識、経験などが身についていない従業員だと自己管理ができず、長時間労働にもつながるため、新入社員などには適用できません。また制度を正しく理解せずに運用すると、トラブルや多額の残業代を支払う可能性がありますので注意してください。

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