健康保険資格喪失証明書、求められたらどうする? 作成と発行の流れ

この記事でわかること
  • 健康保険資格喪失証明書の必要性と発行までの流れ
  • 健康保険資格喪失証明書の記載項目
  • 従業員に確認すべき記載項目 など
難易度と必要性
難易度
★☆☆
必要性
★★☆
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆

基礎知識

2024年12月2日をもって、従来の健康保険証の新規発行は廃止され、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行しました(※)。
この制度変更後も、「健康保険被保険者資格喪失証明書」が引き続き必要なケースは少なくありません。たとえば、マイナ保険証の利用登録をしていない方が国民健康保険に加入するときに、市区町村窓口で即時の資格確認が難しい場合には、健康保険資格喪失証明書が必要となります。そのため、発行の必要性や発行方法を知り、正しく運用できるようにしておく必要があります。
※お手元にある有効な健康保険証は、経過措置として2025年12月1日まで引き続き使用可能です。マイナ保険証を保有していない方や利用登録をされていない方などには、加入している健康保険組合などから「資格確認書」が交付され、引き続き医療を受けられます。

言葉の定義

健康保険資格喪失証明書とは、健康保険の資格を失った日(退職日の翌日など)を公的に証明するための書類です。
従業員が退職すると、これまで加入していた企業の健康保険は使えなくなります。そのため、退職者本人は速やかに、次のいずれかの健康保険への加入手続きを行う必要があります(退職後すぐに転職先の健康保険に加入する場合を除く)。

①自身の市区町村の「国民健康保険」に加入する
②配偶者や親族の「健康保険の扶養」に入る
③任意継続被保険者制度を利用する

これらの手続きを行うときに、提出先(市区町村の役所や、扶養に入る先の企業など)から「健康保険資格喪失証明書」を求められるケースがあります。
そのため、退職者から希望があった場合は速やかに発行することが重要です。

なぜ必要?

健康保険被保険者資格喪失証明書は、退職などを理由に健康保険の資格を喪失し、国民健康保険などに加入するときに届出書類として必要になります。
一般的には、退職者などに対して企業が発行するケースが多いですが、本人が年金事務所に届出をして証明書を発行することもできます。ただしこの場合は、手続きに時間がかかることがあります。

対象企業

社会保険に加入しているすべての企業

対象者

退職者とその扶養家族

実施期間

随時

メリット

退職した従業員とその扶養家族が、国民健康保険などに加入する手続きがスムーズに行えます。

やること

健康保険資格喪失証明書の書式を準備する

健康保険資格喪失証明書の書式は原則任意のため、企業が自由に決められます。
健康保険資格喪失証明書の証明の項目は以下のとおりです。

①加入していた健康保険の記号、番号
②加入していた健康保険の番号(保険者番号)
③従業員の氏名
④従業員の住所
⑤従業員の生年月日
⑥健康保険の喪失日年月日
⑦扶養していた家族の氏名
⑧扶養していた家族の生年月日
⑨被保険者と扶養していた家族との続柄
⑩扶養者の資格喪失年月日 など

注意点

退職後に国民健康保険へ加入する場合、書式が決められていることもあります。健康保険の喪失を証明できる書式であれば、指定の書式以外でも受付可能なケースは多いです。書式が決まっているかどうか、事前に窓口へ確認しておくと、手続きがスムーズです。

従業員から健康保険資格喪失証明書の発行を希望される

従業員(すでに退職した従業員も含む)から健康保険資格証明書の発行の希望があったら、都度作成します。

健康保険資格喪失証明書を発行する

健康保険資格喪失証明書を発行し、本人に渡します。
発行したときは、企業控えとしてコピーを取っておきます。






新規CTA





よくある質問

Q:以前は協会けんぽに加入していました。退職した企業から健康保険資格喪失証明書を発行してもらえません。どうすればよいですか?

「健康保険・厚生年金保険資格取得・資格喪失等確認請求書」を作成し、最寄りの年金事務所へ届け出ることで、発行できます。年金事務所の窓口に直接行くときは、マイナンバーカード(個人番号カード)を持参してください。ただし企業が喪失の手続きを行っていないときは、発行が遅れることがあります。

添付書類:なし
届出先:最寄りの年金事務所または事務センター
届出方法:郵送または持参

※事務センターは郵送のみの受付
※窓口持参の場合、マイナンバーカードを持っていないときは以下の①②を提示してください。
①マイナンバー(個人番号)が確認できる書類(通知カード、住民票など)
②身分証明書(運転免許証など)

Q:年金事務所で健康保険資格喪失証明書の発行をします。企業の証明は必要ですか?

必要ありません。

Q:健康保険資格喪失証明書の代わりになる証明書はありますか?

健康保険の喪失手続きをしたときに発行される「健康保険・厚生年金保険資格喪失確認通知書」のコピーが代わりになります。ただし、加入する国民健康保険の窓口によって異なるケースがありますので、事前にご相談ください。

Q:マイナ保険証を利用していますが、退職後に健康保険が変わったことで、マイナ保険証の変更手続きも必要になりますか?

マイナ保険証として利用登録を行っていれば、変更手続きは不要です。
社会保険の資格喪失に伴い国民健康保険の資格取得手続きをすると、届出を受けた保険者がシステムに健康保険情報を登録します。これにより、マイナ保険証に紐づく健康保険情報も更新される仕組みになっています。
なお、2025年9月15日から、スマートフォンをマイナ保険証として利用できるようになりました。スマートフォンでマイナ保険証を利用するための事前準備などは、以下を参考にしてください。

参考 | 厚生労働省『令和7年9月19日よりマイナ保険証がスマホでも使えます』

HRbaseからのアドバイス

2024年12月2日に従来の健康保険証の新規発行は廃止され、マイナンバーカードと一体化した「マイナ保険証」を基本とする仕組みに移行したことにより、マイナ保険証の利用登録者は増加傾向にあります。将来的には「健康保険資格喪失証明書」が不要になることも考えられますが、現時点ではこの証明書が求められるケースはまだ多く残っています。
年金事務所でも発行はしてもらえますが、企業が喪失手続きを終えていないときは発行してもらえないこともあります。退職者がスムーズに国民健康保険への加入手続きができるよう、従業員から希望があれば速やかに発行できるよう備えておくことが大切です。


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