育児中の時間外労働の制限、対象者は?ルールの決め方は?

この記事でわかること
  • 育児中の従業員の時間外労働の制限の必要性と対象
  • 時間外労働の制限の申請フロー
  • 契約社員の申請は拒否できますか?など

基礎知識

育児中の従業員が柔軟に働けるよう、環境をととのえます。

言葉の定義

時間外労働の制限とは、小学校入学前の子どもがいる従業員が時間外労働の上限を月24時間、年間150時間以内にするよう企業に申請できる制度です。「育児・介護休業法」で定められています。

なぜ必要?

時間外労働の制限は、育児・介護休業法で定められています。子どもがいる従業員の負担を軽減させる制度です。仕事と育児の両立ができるよう、長時間外労働の時間の上限を定めることで長時間労働を防げます。

リスク

企業が従業員からの時間外労働の制限申請を拒んだときは法令違反になります。

対象企業

育児中の従業員(小学校入学前の子ども)がいるすべての企業

対象者

小学校入学前の子どもを育てる従業員

実施期間

随時

メリット

企業が時間外労働の制限ついて正しく理解し、ルールを決めれば従業員が安心して働くことができます。

やること

就業規則にルールを決めて、従業員に周知する

就業規則などで育児中の時間外労働の制限についての内容を決め、従業員に周知します。

従業員から、育児中の時間外労働の制限申請を受ける

時間外労働の制限を開始する予定日の1か月前までに「育児のための時間外労働制限申請書(任意書式)」を提出してもらいます。時間外労働の制限の取得期間は、1か月以上1年以内の期間です。

POINT

・子どもが小学校に入学する前までは、何度でも時間外労働の制限を申請できます。
・事業の正常な運営を阻害されるときは、時間外労働の制限を拒めるケースもあります。

【対象外になる従業員】
①入社して1年未満の者
②勤務日が1週間あたり2日以下の者
③日々雇用される従業員

時間外労働の制限を申請する期間などを社内に周知する

時間外労働の制限を従業員が申請した後、申請した期間などを社内に周知して、業務に支障が出ないよう調整します。

注意点

時間外労働の上限は月24時間、年間150時間以内です。この上限時間より、労働基準監督署に届出している36協定の時間外労働の時間が上回るときは、月24時間、年間150時間以内が優先されます。

時間外労働の制限を実施する

時間外労働の制限を実施します。人手不足やトラブルなどで、時間外労働が月24時間、年間150時間超えているなど誤った運用になっていないか、随時確認を行います。

時間外労働の制限が終了する

従業員が申請した時間外労働の制限期間の終了日の翌日から、通常の時間外労働を行わせることができます。申請された期間以外で時間外労働の制限を終了するのは以下のときです。

①子どもが小学校に入学したとき
②子どもを育てることがなくなったとき(離婚、死亡、養子縁組の取り消しなど)
③産前産後休業または育児・介護休業に入ったとき

よくある質問

Q:従業員が1年未満の期間で、時間外労働の制限を申請をしてきました。このケースの計算式は、1年間の時間外労働の上限150時間を期間で按分する(150時間÷12か月✕申請してきた期間)で、あっていますか??

違います。
1年未満で申請をしてきたときは、取得期間内で150時間以内に納めてください。ただし、複数回申請があったときは、最初に申請があった日から1年間ごとに時間外労働が150時間以内に収まるようにしてください。なお、月24時間以内の制限もありますので、月単位で時間外労働が超えないよう注意が必要です。

Q:契約社員の時間外労働の免除の申請は、拒否できますか?

できません。

Q:従業員からの時間外労働の制限の申請方法は、書面以外に方法はありますか?

あります。
書面での通知の他、FAX、Eメールやクラウドシステムによる提出も認められています。ただし、企業および従業員が申請に関する内容を書面で出力できるよう作成されたものに限ります。

Q:36協定の1年間の起算日と時間外労働の制限の開始日が異なります。36協定の起算日に合わせて時間外労働を管理できますか?

できません。
36協定と育児中の時間外労働の制限の起算日は異なるケースが多いです。制度がそれぞれ違うため、36協定の起算日、育児中の時間外労働の開始日を分けて、時間外労働の時間を管理しなければなりません。

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難易度と必要性
難易度
★☆☆
必要性
★★★
HRbase Solutionsでの、必要性の考え方
法的に必要★★★ / 条件により必要★★☆ / 法的には不要だが会社には必要★☆☆
HRbaseからのアドバイス

時間外労働の制限は、育児中の従業員が安心して仕事と子育ての両立ができるようつくられた制度です。フルタイム勤務はできるけれど、保育園のお迎えや子育ての時間が必要なため、時間外労働は難しいという従業員の負担を軽減できます。育児中の時間外労働の制度の認知度はまだまだ低いです。子育てをしている従業員には利用できる制度を丁寧に伝え、仕事と子育てを安心してできる選択肢があることを理解してもらいましょう。

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